静岡県土地家屋調査士会西遠支部

e防災マップコンテスト

第5回

優秀賞(地域調査賞)

グループ紹介

グループ名 静岡県土地家屋調査士会西遠支部
市町村 静岡県浜松市
想定災害 地震
グループ活動 非防災組織
防災コンテスト参加 継続

マップ名 :「浜松市役所周辺地区の防災マップ」

浜松市役所周辺地区の防災マップ

受賞マップ作品

浜松市中央地区(活用マップ)浜松市中央地区(調査マップ)
浜松市中央地区(確認マップ)浜松市中央地区(検討マップ)

グループの概要

 私たち土地家屋調査士は日々の業務において不動産の登記や土地の境界の専門家です。またそれに伴った狭い道路の拡幅事業や各種法律・条令・規制に基づく手続きをしております。今回静岡県土地家屋調査士会西遠支部にある研究会において「資格者として地域に貢献する」ことを目的にグループメンバーのうち佐藤と 露木が第2回のコンテストで経験した防災マップを作成することにしました。

作品の概要

 今回の防災マップ作成のきっかけは、第2回のコンテストに応募した2人が、そのコンテストの応募作品に地域を巻き込んで活用ができなかった悔しさが心残りになっており、今回は土地家屋調査士として出来ること・土地家屋調査士だから可能なことをテーマに、地域と様々な人との関係を構築し、これからも活用ができる作品を作るため取り組みを始めました。
 今回は活動を始めた段階から、浜松市中区の防災担当課である振興課および自治会連合会会長に協力を頂き、振興課担当者や自治会関係者から浜松市が作成している防災マップが果たして役に立つものなのだろうかという懸念をお話し頂きました。地域密着の防災情報が表示され、今後の防災意識の啓発活動や災害時に利用できるマップがあれば大変役に立つと意見を頂きました。活動した地区は高低差があり津波や洪水の可能性が比較的低い地区でありますので、今回は地震を対象としました。この地区の特徴は市役所やビル、企業が多数あり対象地区を含めた浜松駅前までの広い地域が同じ指定避難所になっています。よって住民の数はそれほど多くはありませんが、災害時における避難者や帰宅困難者の人数は想像以上になると考えています。市においてその対策はまだされておらず、各自治会では対応が手探りの状態です。また自治会単位においては高齢化と小人口化が進み、特に神明町自治会では高齢者のみで男性は一人だけの為、自治会の防災活動や今後の自治会の運営が出来ない状態です。今回のマップにおいてはそのような課題とすぐにでも行政と自治会や住民がする必要のあることの提案をしました。

作品の特徴

 今回の防災マップ作成の活動では地域の人や行政・学校・防災関係者との繋がりにより、この活動が今後の防災意識の向上に寄与し、地域密着の情報が入った役に立つマップが存在していない現状に対して中区や自治会において今後利用できるようなマップの作成を心掛けました。消防のトップ経験者、議員や行政、防災の活動を積極的にしている人々との未来志向的な関係を築くことが出来ました。今回はその方々の協力を頂きながら、このマップがコンテストだけで終わることなく、今後に繋がり活用できる活動が十分にできたと考えています。また、このマップを基に地区の住民が新しい情報を加えながらそれぞれの目的にあった利用ができるよう、その基盤的なものを作成しました。中区振興課や中学校および自治会での展示発表においては今回の地域以外の地区も作成してほしいなどの言葉を頂くなど、充分にその役割を果たすことが出来たと感じました。防災活動における4つのステップの活動のまとめを、活動記録へステップごとに「まとめ」として記載しました。

自由欄

 今回は土地家屋調査士として特徴のある情報をマップに入れたかったのですがデータを管理している関係各所よりマップへの掲載の許可を得られませんでした。
 また、自治会においてもなかなか活動趣旨を理解して頂けなかったのですが、マップを発表し何度も趣旨を説明することで今回の地区以外でのマップ作成の要望までして頂けたと思います。そこに住民以外で防災関係の仕事をしていないグループが活動をしていく難しさを感じましたが、今後の課題として取り組んでいきたいと思います。
ま た、戸建住民とマンション住民の参加意識の差や住民と施設・神社・企業との連携の少なさに問題意識を持ちましたが、ここでも同様の理由で活動の難しさを感じました。今後は是非一体となった活動ができればいいと思います。

講評

評価できる点

  • グループの専門性を活かして地域を綿密に調査(家屋の密集や道路の狭さなど)し、得られた詳細な情報を、「確認」「調査」「検討」「活用」といった(本コンテストの)推奨ステップに分けてわかりやすく整理している。
  • 普段は防災活動を行っていない専門家集団が、地域住民の視点を重視した防災活動を通じて、緩やかに地域とつながっていくきっかけを作りながら活動を展開している。
  • 前回のコンテストへの参加から大きく改善された作品を道具として、地元企業や学校、地域住民と意見交換を行うなど、幅広くかつ徐々に防災意識を啓発していくことに貢献している。

課題、今後に期待する点

  • 地震による家屋や道路の崩壊危険性の情報を追加するなど、専門家ならではの目線から情報の更新を期待したい。
  • 今回の活動において協力が得られなかった地域関係者との連携を強化できる取り組みへの発展を期待したい。
  • 防災意識の啓発にとどまらず、専門家集団としての地域の様々なつながりを活かし、作品の具体的な活用を意識した地域防災活動への貢献を期待したい。