関西大学近藤研究室・チームSKH

防災ラジオドラマコンテスト

第6回

最優秀賞

グループ紹介

グループ名 関西大学近藤研究室・チームSKH
市町村 大阪府高槻市
グループ活動 非防災組織
防災コンテスト参加 新規

作品紹介

タイトル 「みんな一緒に避難しよう」
部門 音声
災害種類 地震
ファイル 脚本(PDF) 音声(mp3)

関西大学近藤研究室・チームSKHポスター

グループの概要

 関西大学社会安全学部近藤研究室では、災害情報とメディアの関わりについて研究や調査をおこなっています。昨年秋から、神戸市立真陽小学校の防災学習活動を持続的に支援するため、「校内放送」というローカルなメディアに着目して、大学生と小学生が協働して放送のコンテンツを作ってきました。放送回数が30 回をこえ、新しい取り組みをしてみようという大学生からの発案によって、今回、ラジオドラマを共同で制作して校内放送で流すことにしました。

ドラマの概要

 舞台は神戸市長田区の小学校。授業中に地震が起き、大津波警報が発表される。6年生のあけみは、同級生から避難の際の合言葉「お・は・し・も・て」を教えてもらい、担任の先生に「6年生が低学年と一緒に避難すること」を提案する。あけみは、1年生の弟・ひろしと、一時避難場所に指定されている「水笠通公園」に向かって歩き出す。公園で母と再会したあけみは、姉が弟を思うのと同じように、母が子を思って待ってくれていたことを知る。

ドラマの特徴

 児童が津波避難の意識を高め、着実に知識を持つことができるようにするため、避難場所の名前など、ローカルな情報を意図的に盛り込んだ。さらに、低学年をサポートする必要があることなど、みんなが「助かる」と同時に「助ける」側になれることを想起できる内容にした。

自由欄

児童を対象にした試聴後アンケートの結果より

 真陽小学校の4~6年生の児童を対象に、ラジオドラマ聴取後(当日)、質問紙調査を実施した(n=77)。回答の一部を紹介する。
 ラジオドラマを聴いた感想を端的にたずねたところ、「とてもよかった」(76%)、「どちらかといえばよかった」(18%)となり、9 割を超える児童からポジティブな評価を得ることができた(図 1)。
 ラジオドラマの中には、一時避難場所の名前「水笠通公園」や、避難の際の合言葉「お・は・し・も・て」(それぞれ、「おさない」、「はしらない」、「しゃべらない」、「もどらない」、そして「低学年を優先する」)が含まれていた。児童にとって役に立つ内容だったかたずねたところ、「とても役に立つと思う」(61%)、どちらかといえば役に立つ(29%)となり、9割の児童からポジティブな評価を得ることができた(図2)。

 

円グラフ:ラジオドラマを聴いた感想

図1 ドラマの感想

円グラフ:ラジオドラマは役に立つか?

図2 ドラマは役に立つか

 

真陽地区防災シンポジウムによる情報共有

 11月28日(土)には、小学校の体育館に地域住民や保護者を招いて、津波防災のシンポジウムを開催し、そのなかでラジオドラマをフルバージョンで披露した。また、上記の「試聴後アンケート」の結果等も報告した。会場には、およそ120人が集まった。このもようは、毎日新聞地域版と神戸新聞で紹介された。

講評

評価できる点

  • 地震時の避難行動について、身近で具体的な内容を示しており、津波が発生した際の振る舞い方をわかりやすく伝える内容になっている。
  • 地域の避難所の具体的な名前を入れるなどの工夫をしている。
  • 小学校の活動に大学生が協力をしており、世代を超えた連携ができている。
  • 実際に放送で流したり、メディアに取り上げられたりして児童のモチベーションを高めている。
  • 誰でも理解できる作品に仕上がっている。

課題、今後に期待する点

  • 防災ドラマがどのような教育効果をもつかを実証的検証してほしい。
  • 他の災害や、日頃の備えなど津波以外についてもテーマとしてほしい。