星崎学区連絡協議会

e防災マップコンテスト

第5回

優秀賞(継続発展賞)

グループ紹介

グループ名 星崎学区連絡協議会
市町村 愛知県名古屋市
想定災害 地震、津波
グループ活動 防災組織
防災コンテスト参加 継続
受賞歴 <e防災マップ> <防災ラジオドラマ>

マップ名 :「星崎学区防災マップ」

受賞マップ作品

グループの概要

 第2回のe防災マップでは東日本大震災直後であったため、この地方を襲った1959年の伊勢湾台風の高潮による洪水の記憶が津波と重なり、災害に強いまちづくりをしようとしたことが始まりでした。

第2回 e防災マップ「星崎学区連絡協議会」受賞者ページ

 第3回ラジオドラマではマップのハード面に加え、災害弱者と言われる障がい者や高齢者をどう支援するかなど、脚本ではソフト(共助)面を強調しました。

第3回 防災ラジオドラマ「星崎学区連絡協議会」受賞者ページ

 今回はマップとラジオドラマを生かし、防災訓練を通して地域の課題を検証するため、知的に障害を持つ親も参加して結成したグループです。

作品の概要

 対象とした災害は地震・津波です。
 防災マップづくりはリスクコミュニケーション手法のひとつで、災害リスクを認知するための「危険度マップ(被害想定図)」、災害に備えるための「資源マップ(避難所、防災倉庫、井戸、防火水槽など)」に、「行動マップ(避難行動、消火活動、要援護者、救護、被災生活など)」を加えたものが防災マップであると言われます。また、地域コミュニティの多様な主体が協働することで総合的な防災力を向上させるものと理解しています。
 ラジオドラマづくりでは、地域コミュニティの災害リスクと自らの役割に気づかされました。
 今年度はリスクコミュニケーション手法の3つ目、「訓練計画づくりと実施」に向けた活動となりました。防災マップづくりや、防災ラジオドラマづくりで作成した災害対応計画を訓練として実践し、実現可能な対応計画かどうかを検証しました。
 防災・減災対策に終わりはない、と言われます。また、「防災は福祉につながる」、とも言われます。私たちの次の世代には必ず起きる、と言われる南海トラフ巨大地震。毎年のようにやってくる台風や集中豪雨。今後もリスクコミュニケーション手法を用いて、星崎学区の防災・減災に取り組んでいきます。

作品の特徴

 第2回e防災マップコンテスト作品とほぼ同様のマップとなりました。第5回e防災マップコンテストへ応募するにあたり、避難経路や津波避難ビル、震度や津波到達時間など行政から発行された最新のハザードマップと比較し、液状化現象なども地域防災キットを参考にして作成しました。これらを活用することで新たな課題を見つけることもできました。当地域はもともと海であったところを埋め立て、新田開発された土地であることから、地盤が超軟弱であることは分かっていましたが、土地条件図を基に調査したり古地図を見たりして土地の成り立ちを再認識しました。
 今回のマップづくりの想定災害を地震と津波に設定したこともあり、震度、液状化、津波到達までの時間、地盤高や高層ビルを詳細に調査しなおしました。
マップ上の社会資源や防災資源は若干増えていますが、地域固有のリスクは前回より増加傾向にあるようです。しかし、マップ上でリスクを表現することは非常に難しいと痛感しています。
 防災訓練では防災マップの推奨避難経路を使い、避難所まで災害時要援護者を避難誘導しました。訓練参加者やボランティアさんから、とても分かりやすく安全な避難経路でした、と高い評価をいただきました。
 障がい者や高齢者、留学や観光中の外国人などの災害時要援護者は個人情報のこともあり、マップ上には記載できませんが、地域でリスクコミュニケーションが図れることを願っています。

自由欄

 マップとラジオドラマで2年連続最優秀賞を受賞した星崎学区連絡協議会には、名古屋市内や他の市町村から地域防災についての講演依頼が多くなっています。
市町村の防災担当者から、地域の防災リーダーを育成したい、との声が多いと感じています。
eコミマップを使った防災活動の先進事例では、自分たちの地域のリスクに気付くよう、お話をさせていただいています。
障がい者や高齢者のこと、保育園や幼稚園の送迎時のこと、事業所操業中のこと、これらは全てリスクだと思います。地域におけるリスクコミュニケーションの重要性を皆さんに気付いていただけることが防災・減災に有効であると信じています。
今年度の星崎学区連絡協議会では、リスクコミュニケーション手法の3つ目である防災訓練を実施しました。この訓練では、知的・精神・発達・身体などの障がい者、「災害時避難行動要支援者」をどのように助けるか、を課題として取り上げました。
検証の結果、助け合いの仕組みづくりが急務であることが判明しました。自助・共助・公助と言われますが、南海トラフ巨大地震が想定通りに起こったら、公助はあてにできません。かといって、共助も最近では危うくなっていると言われます。基本は「自分の命は自分で守る」、このことにつきますが、災害が起きたことの判断や避難することを理解できない知的障がい者や、自力で動くことができない身体に障がいのある人、日本語の話せない外国人などはどうする?

講評

評価できる点

  • シンプルなアイコンを使用した危険情報や資源情報、学区内の標高差に応じた推奨避難経路など、災害時の行動につながりやすい作品である。
  • 年度を重ねて継続して取り組んできた活動成果(防災マップ及び防災ラジオドラマ)を踏まえ、災害(地震津波)、範囲(校区)、目的(要援護者支援)、方法(訓練計画づくりと実施)を明確に設定して取り組んでいる。
  • 災害時の要援護者を見守るといった目的に対し、住民、事業所、行政などがリスクコミュニケーションを通じて幅広い協力体制を築きながら活動を展開している。

課題、今後に期待する点

  • 継続した活動によって増えつつある防災マップ上の情報に対し、情報を集約するマップや利用目的に応じて公開するマップに分けるなど、より利便性を高めた情報整理を行ってほしい。
  • 防災活動に関する長年のノウハウを活かし、地域を超えた情報提供や意見交換など、周りの地域と連携した防災活動の広がりを期待したい。