富山県立南砺福野高等学校放送局

防災ラジオドラマコンテスト

第5回

優秀賞(新規視点賞)

グループ紹介

グループ名 富山県立南砺福野高等学校放送局
市町村 富山県南砺市
グループ活動 非防災組織
防災コンテスト参加 新規

作品紹介

タイトル 「熊と生きる町」
部門 音声
災害種類 熊の被害
ファイル 脚本(PDF) 音声(mp3)

グループの概要

 私たち富山県立南砺福野高等学校放送局は、毎日、番組(ドキュメンタリー、ドラマ)の制作やアナウンス・朗読の練習をしています。番組は、テレビとラジオの二種類にわかれて活動しています。そして番組、アナウンス・朗読ともに様々なコンテストや大会に積極的に参加しています。
 集会のときは毎回裏方として学校行事の運営に深く関わっています。
 また、毎週水曜日にお昼の校内放送をやっています。
 私たちラジオ班1年の3人はこの「防災コンテスト」との出会いにより、防災というものに興味を持ちました。また、私たちの地域の防災についても広く目を向けたいと思い、「防災ラジオドラマコンテスト」に参加することに決めました。

ドラマの概要

 私たちの住んでいる地域には熊が多く出没します。しかし、地域の住民の方はあまりしっかりとした熊の対策を行っていません。その原因について、市役所の林政課という部署の方にインタビューしたところ、住民の方の熊への意識が低いのが原因だとわかりました。
 そこで私たちは住民の方に熊の危険性を再認識させ、熊への意識を高めて、熊の対策を行ってもらうための防災ラジオドラマを作ろうと決定しました。
まず私たちはどのくらい住民の熊に対する意識が低いのかを調べるため、熊が特に多く出没するという町にインタビューに行きました。そこでわかったのは、熊の被害が思った以上にあるということです。熊に折られたという木や、熊の爪跡が残った木、何より住民の方々で熊を見たことがあるという人の多さに驚きました。しかし、やはり住民の意識は低く、熊に対して特に対策をしていないという人がほとんどでした。
 次に私たちは実際熊に襲われたことがあるという方にインタビューをしに行きました。お話を聞いて改めて熊の危険性や、その危険が私たちの生活のすぐそばにあるということを知りました。
 これらのインタビューをもとに、住民の方に明日からでも対策をしてもらえるようなドラマを作ろうということになり、できたのがこの作品です。

ドラマの特徴

 この話は院瀬見町という架空の町が舞台です。しかし、院瀬見町と私たちが住んでいる地域はいろいろなところでリンクしています。例えば「熊が多く出没する」というのは私たちの地域にも当てはまるし、「熊に対する住民の意識が低い」というのも私たちの地域の問題点です。また、作中での相川の息子の熊に襲われたときの話は、実際に熊に襲われた方に取材させていただき、その体験談をほぼ内容を変えずにシナリオに組み込んでいます。
 このように、様々な場面で私たちが住んでいる地域と院瀬見町をリンクさせることによって、作品を聞いた地域の人に熊に関心を持ってもらえるようにしました。
 私たちの地域の人々は「熊は危険である」という意識が薄れつつあります。だから、この作品を聞いて、熊の危険性を再認識し、熊に対する解決策を意識してもらえたらと思います。しかし、いくら解決に向けて動こうと思っても対策が分からないと動きようがありません。そこで、私たちは林政課という熊の対策を行っているところでの取材をもとに、作中にたくさんの対策を提案しました。この案は主人公・相川が言っているように住民の協力がないとできません。だからこの作品をより多くの人に聞いてもらいたいです。

講評

評価できる点

  • 広い意味で自然がもたらす災害として獣害(熊)を取り上げ、体験談をもとにした迫力と説得力のある作品である。
  • 日常生活での地域固有のリスクのとらえ方や対策を考えるプロセスが自然災害への対策にも通じている。
  • 行政や体験者への取材を通じて獣害についてよく調べたうえで、地域内のコミュニティFM放送局で放送するなど、有意義な活動も展開されている。

課題、今後に期待する点

  • より口語を意識したセリフ作りや興味を引くことができる演出(効果音や場面展開など)に力を入れた作品に仕上げてほしい。
  • 放送を聞いた人の感想を聞き、対策を議論するなど、地域の方と協力し、熊による被害を抑える活動への展開を期待したい。
  • 獣害を取り上げた経験を活かして、他の自然災害にも広げた取り組みを期待したい。