崇城大学 SCB放送局

防災ラジオドラマコンテスト

第5回

優秀賞(新規視点賞)

グループ紹介

グループ名 崇城大学 SCB放送局
市町村 熊本県熊本市
グループ活動 非防災組織
防災コンテスト参加 新規

作品紹介

タイトル 「情報の活かし方」
部門 音声
災害種類 風水害
ファイル 脚本(PDF) 音声(mp3)

グループの概要

 映像制作演習という講義の一環で、崇城大学情報学部情報学科の2,3年生計10名でグループを設立しました。FM桐生の小保方貴之さんに非常勤講師として来ていただき、協力してラジオドラマを作りました。
 授業数も少なく、中々時間が取れなかったので空いている時間に集まって読み合わせをしたり、Skype会議でシナリオの不必要な部分を削るなど授業外でも積極的に取り組みました。
 最初の頃は中々上手くいかず、たくさん悩んだり意見をぶつけ合ったりもしましたが、みんなの個性がそれぞれ出し合えるとても良いグループとなりました。

ドラマの概要

 先生から、東日本大震災の際の情報発信や共有の実際について伺いました。その際、過去の水害で、自宅が流された経験がある学生や、避難した経験がある学生などがいて、私たちにとっては、水害が身近にあることも確認しました。
 講義でFM桐生の震災直後から1週間の動きを聞きました。桐生は震度6弱で、通信関係は遮断され、情報送信の問題、受信の問題、情報の内容、共有の対象など、実際の対応を伺って様々な発見がありました。震災時には、発信側に情報の扱い方などについて情報リテラシーが必要であること、Twitterで情報収集をしてラジオ放送するなど、災害時における情報を扱う姿勢、リスナーとの強い繋がりを感じたTwitterを利用した情報収集の方法などが印象的でした。その中でも「呼びかけることで助かる命が1つでも増える情報は信憑性よりも、スピードが大切」という先生のコメントが印象的でした。
 SNSは問題視されることも多々ありますが、逆にそれを災害時に上手く利用したケースも多いです。マスメディアとは違う生の情報が沢山掲載されています。どこにいても情報共有でき、多くの情報を取得できます。
 現場の状況だけでなく、避難所の情報や交通網情報など地域の中や外に必要な情報を避難所が主体となって共有することができれば、避難所で問題が起こっても、対策ができるのではないかと思い、シナリオを作成しました。

ドラマの特徴

 この作品は「情報共有」がテーマです。TwitterやSNSで流れて来る情報、マスメディアの情報など、災害時に溢れる様々な情報を取捨選択し、発信して共有していく様子を伺い、スタッフがコミュニケーションを取れない状態では、何が正しいか後にならないとわからないという緊張感に満ちていたと思います。そこでそれらを相談できる人が居たら心強かったと感じ、3人のタイプの違う大学生を登場させることにしました。
 東日本大震災では、災害後ガソリンスタンドに給油を求める人達が集中的に殺到し、それが傷害沙汰にまでなったことを聞きました。コミュニティFMは、ガソリンスタンドの情報を流さない方が良いのではないかという中、FM桐生はスタンド側と連絡を取り、受け入れ可能かを確認した上でリスナーに情報提供し、結果的に被災者の方々に感謝されたそうです。「普段から人集めをするコミュニティFMが、困っている時に情報を提供しないのはおかしい」という情報の扱い方の姿勢も参考になりました。ラジオのエリアを避難所に置き換え、情報の種類によって、施設内での共有の方法、施設間で共有の仕方などを工夫していく様子をイメージしてシナリオ作りを行いました。

自由欄

 私たちの関心は、「コミュニケーション」と「情報共有」の2つにわかれました。当初は1つのストーリーでしたが、ポイントがぼやけた印象になったので、2つの作品として仕上げています。
 また、講義や作品作りの過程自体が、まさに、「コミュニケーション」と「情報共有」を実践していました。作品のテーマと直結していました。ワークショップで、議論を重ねて行くことの大切さを実感しました。情報共有のためには丁寧なコミュニケーションが欠かせません。face to faceのコミュニケーションの重要性と難しさを体験しました。一方で、それらを丁寧に積み上げてシナリオを作るプロセスが、コミュニケーションと情報共有の「楽しさ」を体験するきっかけにもなった気がします。
 私たちはこれまで、防災という視点で、これほど真剣に考えることはなかったと思います。個々に体験したことはあっても、その情報を共有することで、他の人の備えになることもわかりました。一方で、体験したことはなくても、話しを丁寧に聞くことで、備えが出来るということもわかりました。実際に災害が起こった時に、どこまでのことが出来るかはわかりません。ただ、災害が起きたときのことを考えることが出来たのは大きな財産だと思っています。

講評

評価できる点

  • 災害時の避難所で発生した問題について、学生と地域住民の2つの異なる視点から描かれており、いずれの世代にも共感できる作品である。
  • 耳の聞こえない人のための身近な情報伝達手段としてSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用するなど、若者の優しさと情報ツールの活用に関するアイディアが高く評価できる。
  • 災害情報の収集や共有、活用に対し、地域のコミュニティFM放送局の震災時の経験(取材)が活かされている。
    ※同大学から応募のあった2つの作品を一体として捉え、より高く評価した。

課題、今後に期待する点

  • 大学生の視点から、様々な情報媒体を活用した災害情報の取得方法や伝えるべき相手への伝達方法などについても検討を進めてほしい。
  • コミュニティFM放送局を通じた地域の方々への作品の配信や、作品に関する意見交換など、地域の方々と一緒に行う活動への展開を期待したい。