防災パートナーの会

防災ラジオドラマコンテスト

第5回

優秀賞(地域調査賞)

グループ紹介

グループ名 防災パートナーの会
市町村 静岡県富士市
グループ活動 防災組織
防災コンテスト参加 新規

作品紹介

タイトル 「富士山のふもとで暮らすということ」
部門 音声
災害種類 火山災害
ファイル 脚本(PDF) 音声(mp3)

グループの概要

 静岡県富士市・富士宮市をエリアに放送中のコミュニティFMラジオエフが行った「ラジオ講座」の修了生による、災害時の情報伝達を目的としたボランティアグループ。2011年3月15日22時30分頃に発生した富士宮を震源とする地震発生時、被災状況を、より積極的に効率よく伝えることができたのではという反省を踏まえ、法崔パートナー同士のコミュニケーションの向上と、ラジオへの情報提供をスムーズかつ的確に行うことができる体制作りを目的に、2011年4月に発足。災害時以外も、日頃から防災について意識を高めるよう防災に関する知識を深めたり、啓発ラジオドラマの作成等を行っている。

ドラマの概要

 2011年3月15日22時30分頃に発生した静岡県東部地震は、震源地が富士山麓だったことから地元に住む人にとって「富士山噴火」を強く意識させられる出来事でした。将来予想される富士山の噴火に際して、富士山のふもとに住む自分たちが前もって正しい知識を得ておけば、冷静な行動をとれたり、最善を尽くせるのではと考え、富士山噴火をテーマにしたラジオドラマを提案しました。ドラマの内容を検討している最中、2014年9月27日11時52分、長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山(標高3,067m)の噴火が発生、日本国内において戦後最悪の57人(同12月現在)の死者数となり、はっきりと予測できない噴火もあることや、噴火の恐ろしさがよりいっそう身近に感じられました。富士山は、2013年に世界文化遺産に登録され、日本国内だけでなく世界中にも知られる山になり、地元としてもその存在の恩恵を受けてきた歴史があります。よって、火山として富士山も知りながらともに暮らしていくことを考えて行ければと思います。

ドラマの特徴

 2001年7月11日に内閣府の防災担当が主導する富士山火山防災協議会が発足、富士山が噴火した場合、その影響範囲が広域にわたるため、火山の防災対策としては今までになかった広範囲の防災対策の検討が始まりました。一般的には災害対策は、災害の内容をできるだけ正しく詳細に予測し、その災害による被害を最小限に抑えるよう見当を行いその地域の住民や観光客などに正しく周知させることが必要で、また関係機関においては想定される災害に対する避難訓練や災害対策訓練を行って万が一に備えると同時に、訓練を通じて防災対策の不備を確認し改善を行うことが重要です。ラジオドラマでは、「正しい周知」にスポットをあて、富士市でも最も富士山に近い地域の住人(桑崎地区)向けに火山避難訓練を行う中で、それまで実感が湧かなかった富士山噴火に関心を持ち、自ら行動して地域の人と助け合おうとする心を育む様子を描きました。特に、次世代を担う子供の目線を取り入れました。

自由欄

 防災パートナーの会によるラジオドラマ制作は、昨年度、コミュニティFMラジオエフで放送してもらうことを目的に行ってきました(その際は6分程度の番組を13話作成)。今回は、コンテスト応募用として、1話完結の話を半年かけじっくりと話し合い、内容を練ってきました。富士山噴火は地元では「地元の誇りである富士山のイメージを損ないたくない」という考えの人が多く、あまり大きな話題になることはなかったのですが、御嶽山の噴火から、富士山は火山の側面もあるということを大きく意識するようになりました。麓に住む人たちが愛してやまない富士山を大切にしていく上で、「火山」のテーマも必要と感じました。

講評

評価できる点

  • 富士山の噴火に関する災害履歴やハザードマップ、被害想定など、専門的な情報を丁寧に調べ、聴き手への情報提供を意識したわかりやすい作品である。
  • 災害時の共助の必要性に対する登場人物の意識と態度の変化を面白く描きながら、防災意識の啓発を図っている。
  • 作品の活用においては、行政を通じて地域内に広く発表する場を設けたり、コミュニティFM放送局で放送するなど、地域関係者と積極的に協力しながら成果の共有が行われている。

課題、今後に期待する点

  • 調査した基礎情報がナレーションとして多く含まれているが、ドラマとして聞きやすいように、うまく台詞に含めるようにするなど、演出面での工夫をしてほしい。
  • 放送した内容に関する意見交換を地域関係者と行うなど、具体的な災害対策に結びつけることができるよう、今後も継続した活動のさらなる展開を期待したい。