社西劇団 ちもり一座

防災ラジオドラマコンテスト

第1回

<脚本部門> 優秀賞

グループ紹介

グループ名 社西劇団 ちもり一座
市町村 福井県福井市
代表者名 山下 征夫さん

作品紹介

タイトル 「ふくい輪中の里物語~水害を乗り越えた村人たち~」
部門 脚本
災害種類 水害
ファイル 脚本(PDF)

ドラマの概要

 福井市の西を流れる日野川。その地域にあった一つの村。「越前の国、足羽郡社村久喜津(現 福井市久喜津町)」が本日の物語の舞台です。
 今から二九七年前、西暦一七一三(正徳三)年のことでした。村人は、たび重なる水害におびえて村を捨てるか、水がきたらどこへ逃げるか、堤防さえあればなぁと心配しながらも、大切な先祖の田圃は守らなければと思案に迷う日々を過ごしていました。そして、村人が出した結論は・・・・・
 今日の都市計画や防災対策を自分達で決め、藩も村人の提案を許可しました。工事開始から三年、久喜津村を取り巻く高い堤防、輪中が完成しました。おかげで村は豊かな村に立ち直りました。
 この物語には、都市計画を住民が自分達でつくったこと、災害から村を守る自主防衛の心構えなど、現代に通じる先人の知恵を読み取ることが出来ます。これからの地域づくりに大いに参考になる。

ドラマの特徴

 福井市社西地区は、足羽川・日野川に挟まれた低地にある。そのため、度度水害の不安に悩まされている。現在、防災組織をつくり毎年避難訓練を実施している。しかし、その意識高揚がむずかしい。そこで、一策として、本地区の史実をもとにドラマ化した。
 本地区の先人達が苦労して輪中をつくり、安心して耕作できるようになった経過をドラマ化して防災意識の高揚を試みた。

講評

  「輪中」(河川の氾濫による被害を防ぐために集落を堤防で囲んだ構造にしたもので、木曽川、長良川、揖斐川(木曽三川)とその周辺地域に多く存在した。現存しているものは少なくなっている。)という地域を挙げた水害対策という歴史的な事実を題材とし、当該地域の災害リスクを伝承するとともに、輪中づくりが官民協働の事業であったことから、現代の社会制度的な背景の中で、都市計画や土地利用計画など、官民「協働」による防災の重要性を考えさせるところを評価した。一般に、地域防災というと住民間の互助や共助に基づくソフト的な対策を中心に考えられる傾向にあるが、低頻度大規模災害のリスクに対しては、長期的な視点で公民が協働で防災対策について検討し計画に反映させるなどの取り組みが期待される。