The 災防具

防災ラジオドラマコンテスト

第1回

<ドラマ部門> 優秀賞

グループ紹介

グループ名 The 災防具
市町村 神奈川県横浜市
代表者名 栗原 正文さん

作品紹介

タイトル 「シロの微笑み」
部門 ドラマ
災害種類 水害
ファイル 脚本(PDF) 音声(mp3) YouTube

ドラマの概要

 ラジオのパーソナリティー相浦の手元に届いた一通のメールは、耳の聞こえない少年からのものだった。ドラマは一年前の回想から始まり、地元FM局と消防団員と元気君という少年、そして少年の心の支えになっているシロという名の犬をがけ崩れの恐怖から救い出すまでを描いている。元気君の母親は台風の為に交通手段を奪われて帰宅できないでいた。一人家に残された元気君の家の周囲の住民は彼が引っ越してきたばかりだった為に気づかずに避難してしまい、一人その地域に取り残されてしまった。広域にわたっての災害に、消防署や警察はすぐに人員を現場に送ることがむずかしく、母親は日頃FM局との関わりがあったことから相浦に助けを求め、相浦はやはり番組で知り合った消防団員に連絡をした。救助に向かった消防団班長の高瀬は数名を率いて少年を救い出すが、シロまでを救い出す余裕はなかった。それから一年後、本職が八百屋である高瀬班長の目の前に、改めてお礼を言いにきた元気君。そしてその傍らに再会を喜ぶシロの姿があった。

ドラマの特徴

 台風における集中豪雨で起こったがけ崩れの災害救助を想定し、地元FM局と地域の輪とラジオと本来繋がることが希薄な耳の聞こえない少年との関わりを描いた作品です。
 自然災害は防げませんが、防災は人の手によって行われ、多くの人の協力が必要になります。そしてこの協力関係は日頃の生活の中から時間をかけて作られたものでないと機能しないでしょう。地域の輪の中に地元の情報が豊富な消防団という組織があって、地元コミュニティーFM局と関わることで、新たな「輪」を形成することも防災手段の一つではないかと考えます。地域には様々な団体、組織があってそれらをなんらかの形で結びつけ、災害などあった際には、本来の目的以外にも機能することが可能だということが伝えられればうれしいです。

講評

 都市近郊で急傾斜地を抱える地域に起こりうる大雨による土砂災害を想定し、家族の安否確認や救助要請の際に、一般市民から消防関係者、コミュニティFM局ほか防災に関わる専門家まで、さまざまな関係者が情報をつなぎ協力して対応することが描かれている点を評価した。また、コミュニティ放送局が日ごろの取材先やリスナーとのネットワークを活用し、災害時に情報のハブとして被災地の情報をコーディネートする役割も盛り込まれており、今後、平常時においてはコミュニティ放送局が地域のドラマづくりのコーディネートを通じて地域防災を高める役割が期待される。