豊橋市障害者福祉会館 (さくらピア)

防災ラジオドラマコンテスト

第5回

最優秀賞

グループ紹介

グループ名 豊橋市障害者福祉会館 (さくらピア)
市町村 愛知県豊橋市
グループ活動 非防災組織
防災コンテスト参加 新規

作品紹介

タイトル 「障がい者が避難所にきたら」
部門 脚本
災害種類 地震
ファイル 脚本(PDF)

2015年度に、こちらの脚本を元に音声化しています。
第6回 防災ラジオドラマコンテスト 「豊橋市障害者福祉会館 (さくらピア)」(2015年度)

グループの概要

 豊橋市障害者福祉会館は、豊橋障害者(児)団体連合協議会が指定管理者となって以来、地域社会に対する障害者防災の周知啓発活動に積極的に取り組んでいる。平成26年度には数年に渡る業績が評価され、第18回防災まちづくり大賞総務大臣賞、平成26年防災功労者内閣総理大臣賞を受賞した。

 特に平成21年度から毎年開催している「さくらピア避難所体験」では、障害者が管理運営する会館特性を生かした、障害当事者主体の実践的訓練を実施している。計2日間に渡り障害当事者・関係機関・一般参加者が一斉に集い、障害種別ごとの話し合い・夜間の防災訓練・体育館宿泊体験等に取り組むなど、障害当事者と公共施設が軸となり、「障害者の防災を考える場」を提供している。

ドラマの概要

  • 作品制作は、さくらピア避難所体験(平成26年9月27日・28日に豊橋市障害者福祉会館さくらピアで開催)の一環として実施した。
  • 制作方式は、障害種別ごとの7グループ(肢体、車いす、聴覚①・②、視覚、知的①・②。それぞれ6、7人で構成)によるグループワークとした。どのグループも障害当事者(障がい者・家族・介護者)だけではなく、健常者一般も参加している。
  • 共通テーマ「避難所における災害時要配慮者への配慮」を設け、各グループで一貫した内容を制作した。そのため、どの作品にも障がい者が登場している。
  • 作成時間は各グループとも1時間程度であり、非常に短かった。
  • 完成作品は、グループごとにその場で発表した。

ドラマの特徴

 最大の特徴は、「避難所における災害時要配慮者への配慮」をテーマに、障害当事者自らが作品制作に取り組んだ点である。

障がい者は10代~80代の幅広い年齢層から、肢体、内部、聴覚、視覚、知的、精神等、障害を持つ様々な方が参加された。また、障がい者、家族、介護者等の「当事者」のみならず、市役所、障がい者施設等の「関係機関職員」、「一般健常者」等にも多数ご協力いただいた。

 一口に障がい者と言っても、障害種別は多岐に渡り、加えて個々人の障害の程度にも様々なばらつきがある。また、有事の際には避難所に集う全ての人々が障がい者と関わる可能性があるため、「障害を持たない人、日ごろ障がい者と関わりのない人」の協力・援助が欠かせない。今回のドラマ作りを介して、障害を持つ人・持たない人、支援する人・される人の相互交流・協働訓練が実現したことには非常に大きな意義がある。

 当日の作成時間は非常に短かったものの、参加者主体のグループワーク方式をとることで活発な議論がなされ、様々な立場から個々の意見を作品に集約・反映することができた。作中に描かれた障がい者は、誰かの声掛けを待つ受け身の姿ではなく、障害特性・必要な支援を自らアピールしていく積極的な姿となっている。

自由欄

 一般の方々は「障害者も地域の避難所を訪れる」という事実を見落としがちである。今回はまさにその問題を、ラジオドラマの原稿という形で提起している。「地域の障害者を地域の避難所に受け入れることができる社会」の実現を願う。

今回は初めてのシナリオ制作であるため、作品としての完成度は高いとは言えない。しかし、障害当事者の生の声を元に作り上げたため、より具体的かつ実感的な作品になっている。

 とはいえ障害者が登場する場面は、ラジオドラマで表現するには適さない面もあった。例えば、聴覚障害者が手話や筆談を用いるシーン等である。それらについては今後、制作したシナリオを元に手話劇を企画するなど、新たな活用を図りたい。

講評

評価できる点

  • 地域の避難所体験イベントにて障がいを持つ方と地域関係者が協力して障がい別のシナリオを制作し、身体的ハンディキャップからくる災害時の困難さをリアルに表現している。
  • 地域の支援者を交えた意見交換や、参加者に対するアンケート調査を通じて、解決すべき問題を発見し、それをよく反映した作品である。
  • 地域の方々も参加できる活動を展開し、支援者にとっての気づきを生みながら、障がいを持つ方の思いや行動を具体的に学べるなど、支援者にもわかりやすく受け入れやすい意欲的な取り組みがなされている。

課題、今後に期待する点

  • 作品に出されている課題に対し、地域の方々と一緒に解決方法を考えながら、今後も継続的な活動を期待したい。
  • より多くの人に伝えられるよう、脚本を音声化しいろいろなメディアを通じて内容の共有を図ってほしい。
  • 作品の活用を通じて、災害時の障がい者 に対する理解が広がることを期待したい。