説明
1. はじめに
自治体等の行政機関を対象に、庁内での地図作成と、作成した地理空間情報をオープンデータとして発信・公開を行うシステムです。本システムは共同研究を行った藤沢市と共同で開発しました。なお、本システムはeコミマップに備わった機能を用いることで構築することが可能です。
加えて、住所表記やランドマークと緯度経度のテーブル(利用者が作成)を用いて、ジオコーディング(住所表記から緯度経度へ変換すること)を行うためのシステムをあわせて公開します。
2. 本システムを利用するユーザー
庁内の地理空間情報の作成と共有、地理空間情報を中心にオープンデータを公開する自治体等の行政機関が本システムを利用します。
3. 特徴
本システムは、庁内と庁外でサーバを2つ構築することを推奨しています。庁内は各部署が業務として地図作成を行います。庁外(公開用)は庁内で作成した地図をオープンデータとして公開するサーバです。
職員権限設定機能
eコミマップのデフォルトの権限設定とは別に、職員の地図およびレイヤの権限設定を調整することができます。また、課などで作成された地図やレイヤが職員の異動時による権限の影響を受けないために、地図やレイヤの所有権を作成した職員ではなく課に持たせることができます。
シングルサインオン機能
自治体内部のグループウェアによる職員認証と連携しやすい方式を採用しています。(ただし自治体の状況に応じてプログラムの修正が必要な場合があります。)
表画面モード、帳票出力機能
地図だけでなく、表計算ソフトど同様の入力インタフェースによるデータ入力機能があります。また、地図や写真などを帳票として出力する機能があります。
住所情報の一括位置情報登録機能
住所情報から自動的に緯度経度に変換してレイヤに一括登録することができます。(ただし住所と緯度経度を変換するための変換テーブルを作成する必要があります。)
オープンデータ支援機能
庁内と庁外サーバ間のデータ同期機能
庁内で作成した地図をオープンデータとして公開する場合に、庁外(公開用)へ地図データを送る機能です。庁内で更新した際は同期を行うことができます。
レイヤおよびマップのAPIおよびファイルによる出力
庁外(公開用)へ送られた地図は、ウェブブラウザ上での閲覧が行えるほか、地理情報システムのフォーマット(Shape形式)、CSV、JSON、KML、国際標準の地理空間情報のAPIに基づき公開することができます。
公開サイト向けレイヤおよびマップ一覧生成HTML出力機能
既存のCMSやウェブサイトに公開した地図の一覧を張り付けるためのHTMLを生成することができます。
アクセス数集計機能
公開した後の効果を測定するために、アクセス数を集計することができます。
4. オープンデータ出力形式
レイヤ(項目)出力形式
名称 | 説明 |
---|---|
CSV | カンマ区切りのテキストデータです。 |
Shape 形式 |
米国ESRI社が提唱した地理空間情報の記録形式です。 一般的なGISアプリケーションが対応しています。 ただし、文字数等のデータ量の制限があります。 |
KML | GoogleEarth等で表示可能なXML形式データです。 形状の他に名称と説明、表示するためのスタイル情報を持ちます。 |
GML | Geography Markup Languageの略称になります。 OGCによって策定された地理空間情報を表現するXML形式のファイルです。 WFSリクエストの基本的な出力結果のフォーマットになります。 |
GeoJSON | JavaScriptでの利用JSON形式で地理空間情報を表現したデータです。 https://geojson.org/ で仕様が公開されています。 WFSリクエストの拡張機能での出力結果のフォーマットになります。 |
マップ出力形式
名称 | 説明 |
---|---|
WMS | 地図画像を配信するためのサービスです。 OGCによって策定されたリクエストURLを用いることで、地図画像を取得できます。 WMSCapabilitiesと呼ばれる定義ファイルから取得できるWMSサーバの情報を登録することで、一般的なGISアプリケーションやWebGISで地図画像を表示できます。 |
WFS | 地理空間情報を配信するためのサービスです。 OGCによって策定されたリクエストURLを用いることで、地理空間情報を取得できます。 WFSCapabilitiesと呼ばれる定義ファイルから取得できるWFSサーバの情報を元にしたリクエストによって、GMLやGeoJSON形式の地理空間情報を取得できます。 |
5. 藤沢市との共同研究について
藤沢市と防災科学技術研究は、本システムを共同開発しました。
詳細は、構築サイトおよび以下のドキュメントをご覧ください。
なお、構築における技術面での内容は「自治体情報共有・発信基盤システム導入ガイドブック」第6章にて取り上げています。
藤沢市 「ぐるっと藤沢マップ(藤沢市地図情報公開システム)」
佐久間智義, 田口仁(2015):「藤沢市における統合型地理情報システムの開発 ~庁内の情報共有と市民へのオープンデータ公開を支援~」, 月刊J-LIS 10月号, pp.15-19.