見守り情報管理システム
概要
本システムは、3.11被災地の自治体をはじめ、様々な支援団体や組織が協働し、応急仮設住宅等の被災者に関連する情報をクラウド環境で共有・管理しつつ、より包括的かつ効果的に被災者の支援を行うためのツールです。被災地だけでなく、平時からの地域内の要援護者等の情報管理にもご活用いただけます。
見守り情報の共有(クラウド環境)
クラウド環境で常に最新情報を共有し、管理権限を持つ複数の支援団体間の支援制度などの統合・適用による包括的な支援が可能です。とくに、世帯全体または家族構成員の地域間移動(引っ越し)に対し、地図上の位置情報を含む見守り状況(担当者情報を含む)の地域間情報共有による支援継続が可能です。
WebGISによる広域的な支援状況の可視化(地図化)
世界共通の地図情報の連携仕組み(eコミマップ)を有しているため、地図による要支援者の状況及び支援状況の可視化し、地図上で他市町や他団体との情報共有による地域の境界を超えた広域的な支援検討が可能です。
開発経緯
本システムは、「eコミュニティ・プラットフォーム(以下、eコミ)」の高度化の一環として、防災科学技術研究所が研究開発を行っているシステムです。2011年3月に発生した東日本大震災に対し、宮城県社会福祉協議会と協力して、2011年7月から宮城県内の被災者生活サポートセンターを対象とした業務分析を実施し開発したものです。
対象業務
本システムが導入を想定している業務は、以下の通りです。
住民の入退去実態管理業務
- 住民からの申請に基づいた入退去情報の管理
- 巡回訪問活動等を通じて把握した生活実態に基づいた入退去情報の管理
被災者、要援護者の見守り業務
- 世帯又は個人への巡回、訪問の実施および情報管理
住民の相談対応、支援調整業務
- 住民からの相談、要望に基づく支援の検討、調整および情報管理
- その他、住民の状況や巡回訪問によって把握した課題に対する支援の検討、調整および情報管理
取り扱う情報の種類
見守り基盤情報
- 世帯情報、個人情報(世帯主、家族構成、氏名、要援護の判断材料など)
- 入退去情報(世帯の入居場所、転居記録、日付など)
見守り記録
- 巡回記録、訪問記録(訪問日、在宅/不在、懸念事項など)
- 相談記録、対応記録(受付日、相談内容、対応機関、対応状況など)
システムの運用イメージ
機能の概要
見守り基盤情報の登録、検索機能
- 入退去の状況、世帯及び個人の基本情報、見守り計画のための地域区割りや担当設定などの基盤情報を登録し、登録情報に応じた各種データの検索・閲覧を行う。
世帯及び個人の状況(リスク度)の登録、検索、集計、地図表示機能
- サポートセンターで調査、決定した世帯及び個人の状況(リスク度)を登録する。
- 世帯や個人を状況(リスク度)別に検索、集計、地図の塗り分けを行うことで、地域の潜在的な課題を可視化する。
見守り計画表の作成、印刷機能
- 地域区分別、担当別、世帯及び個人の状況(リスク度)別、その他詳細条件別の巡回訪問計画表を作成し、印刷して巡回訪問時に活用する。
見守り記録の登録、検索機能
- 巡回訪問の記録、及び相談の受け付け記録、対応記録を登録する。
- 登録結果を地域区分別、担当別、世帯及び個人の状況(リスク度)別、世帯及び個人のコードなどを条件として検索し、閲覧・印刷する。
各種集計表、報告様式の作成、印刷機能
- 帳票テンプレートを作成・カスタマイズし、様式に沿った集計表や報告書を印刷する。
システム汎用管理機能
- 権限設定機能
システム管理者、運営管理者、各機関管理者、訪問員のレベル別に各種設定及びデータの閲覧・登録・削除・印刷機能の実行権限を付与。
- 項目設定機能
シ実務に合わせて適宜、各情報項目別の使用項目をカスタマイズ可能。
- ログ管理機能
シ各ユーザーのデータ閲覧・登録・更新・削除・印刷の操作履歴をログとして保管・監視することが可能。
- 職員名簿、班構成管理機能
シ職員の名簿や見守り実施計画における班構成を登録し、訪問計画作成時の検索や訪問記録入力時の担当者の一括設定が可能。
- データ一括UL/DL機能
シ各種データをCSV形式(タブ区切り)で一括ダウンロードし、表計算ソフト上でリスト作成、集計処理、データ修正して一括登録することが可能。
- 地図管理機能
マップの背景地図や表示項目、範囲、縮尺などの設定が可能。
期待効果
個別福祉の向上
- 見守り基盤情報を更新・共有することで、生活実態を迅速かつ的確に把握し、必要な支援を必要なときに、必要としている市民に対して行うことができる。
- 見守り記録を共有することで支援者が住民と接する際の留意点などの情報を適切に活用し、住民が支援者とコミュニケーションを取る際の負担を軽減する。
行政コスト削減、資源の有効配分
- WEBベースのクラウド技術を利用した情報基盤を利用することで、それぞれの現場から適時にアクセス可能となり、情報の収集・統合にかかる負担を軽減する。
社会への説明責任
- 集計・地図化などの機能によって効果的な資料を作成し、住民への説明や事業報告などにおいて有効に説明責任を果たすことができる。
地域福祉の向上
- 自治体など特定の組織間で、クラウド技術を利用して安全に情報共有する仕組みを擁し、住民の自治体間移住後についても継続的に、情報管理に基づく支援の実施が可能。
- 多様な主体が多様な視点から収集した情報を統合し、継続的に情報管理を行うことで、長期的な地域コミュニティづくりに有効な情報を、活用可能な形で管理することができる。
セキュリティについて
- 運用方針に応じた利用者のアクセス制限が可能(ユーザー認証、IP認証)
- ウェブアプリケーションの脆弱性(XSS、CSRF、SQLインジェクション)対策済み